attoの文とか。
attoの書く小説等をupしています。                 記事は下へ行ってしまうので一話から読むときは最新の記事かカテゴリーを使って下さい。 ・・・・では、
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Author:atto
話を読むこと、書くことが好きな高校生。
いろんな知識を持っているつもりだけどいざと言うときに活かせない。

話を書きたいがどうにも行き詰まることが多い。

もの凄いスローペースな更新だとは思いますが、どうかお付き合い下さい。



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話屋、100のお題ver.
話屋の第4話です。
『B×B』はもう少しお待ち下さい。
次回は、研究所と同時更新です。


4、鍵 【かぎ】

『バキンッ』
錆びた鍵で扉を開けようとしたら根本からバッキリと折れてしまった。
鍵は鍵穴に刺さったまま。
取ろうにもきっちりと造られたその鍵には隙間なんて殆どない。
「あ〜、やっぱり折れちゃいましたか。」
突然現れた帳さんに驚いた俺は後ろに倒れ、盛大に尻餅をついた。痛い。
「そんなに驚かなくても・・・。」
少々寂しそうな顔をする帳さんはやはり演技が上手い方だと思う。
俺が尻餅以上に狼狽えない所を見た帳さんは面白くないですねとでも言いたげに顔をいつもの緩やかなモノに戻す。
───・・やっぱり・・って事は、前々から怪しかったんですか?
俺がそう聞くと帳さんは「まぁ・・」と曖昧に答えた。
この部屋には何か在るのだろうか。
ただ、「ちょっと整理をお願いします。」と頼まれただけだが、あの返事とかからは何か在るように感じる。
───帳さん、此処って何の部屋なんですか?
気になりまくっているのを気取られぬ様いつもと変わらない調子で聞く。
ただ、視線だけはどうしても鍵穴からはずせなくて、ずっとそこを凝視した状態だったけど・・・。
「此処ですか・・此処には、いろんなデータが集まってるんです。」
───データ・・ですか。
割と普通のモノだったことに少々肩すかしを食らいつつ、それをまたもや表情に出さないよう心懸けて、何のデータですか?と聞いてみる。
「・・此処に相談にくる人のお話を記録してるんですよ。ちゃんと整理しなきゃいけないんですけどね・・。」
そう言う帳さんは部屋に入れなくなってしまった事への申し訳なさか、こめかみの当たりを指でカリカリと掻いている。
表情も演技なんかではなく、本当に申し訳なさそうだ。
───でも・・話に来た人達の話ってあまり良い話とは言えないじゃ無いですか・・。
───だったら、それを永遠に忘れる・・っていうのは良いことじゃないですか?
頭に浮かんだ、そんな無茶苦茶な俺の言葉を帳さんは否定した。
でもそれは嫌な感じではなく、寧ろ、自分の考えの浅はかさを感じるモノだった。

「・・・『思い』に潰されそうなとき、それを一緒に持ってくれる人が居るのはとても良いことだと私は思っています。だから、私は、少しでも此処に話にくる方の力になりたい。だから、『忘れ』てはいけないんです。」

・・・その日折れた鍵は二度と扉を開けることは無かったけれど。

B×B Seventh
B×B・・・更新です。
一度、間違えて更新分を吹っ飛ばす、(コピーと間違えて貼り付けを押してしまい、それまで書いた文が『Trading』になると言う・・。)絶望を味わい、もうだめだ・・とも思いましたが、どうにか第七話、書き上げました。
最強は紅林さんです。

では、感想、ご意見、お待ちしています。

Seventh "生様"


カチカチ・・・カチカチ・・・。
薄暗い部屋にぼんやりと青白い画面が映える。
勿論それはパソコンのデータとかそう言う真面目な類のモノでは無く、第4、5研究室担当の「水湖 高奈」のしている、ゲーム画面である。
研究棟内で研究よりゲームを優先する人間は彼女を置いて他に居ないだろう。
その後ろには双子の姉弟、姉の「Fourth」・・・「蒼」と弟の「Fifth」・・・「青」。
どちらも特にすることなしと、ゲーム画面をぼんやりと眺めている。
・・否、Fifthの方は姉にもたれ掛かってうっとりしていた。

『ガンガン。』

重厚な金属製の扉を叩く音が鳴る。
この部屋に来る人間は研究レポートの提出を催促する奴か、依頼する奴の2パターンしかいない。それについてはFourthが「いつまでも学生から抜け出せない大人」と辛辣な評価を下している。
「悪い、蒼、ちょい手が離せんから出てちょ。」
画面から一向に目を逸らさず言葉だけ発する。
それに蒼は「はいはい」とうんざりしたように答え、弟を引きはがし、扉に向かった。
『ガチャリ』と重々しい感じとは裏腹にスムーズな開閉を行う扉を開けると、そこには一人の白衣の女性が立っていた。
「・・第1研究棟の一澄(ヒズミ)です。先ほど、Secondが逃走、よって逃走したsystem保持者がFirstと合わせ2体となったため、Thirdだけでは厳しいと言うことで此方、4、5研究所にも依頼が入りました。直ちに1st及び2ndを捕獲、もしくは破壊して下さい。以上です。」
表面上は業務を果たしているが、声が震えている。
まぁ、仕方ない。と蒼は思った。
此処に来るのも辛かっただろう。
「あ〜、そうなん?風凪も紅林も馬鹿やるねぇ・・。まぁ、いいや。蒼、青。適当に終わらしてきて。あたしコレ速いところクリアしてぇし。」
勿論顔は画面から離さず、声だけを向ける。
その刹那、青の目から色が消え失せる。
「はい、解りました。・・・じゃ、準備運動・・。」
そう言って青は一澄の元へ歩いていき、「ひっ」と小さく悲鳴を上げる彼女を無視してしなだれかかる。
そのまま、指が彼女の腕を滑っていき『ボコボコボコ』水の動く音『パァァァン!』腕が弾けた。
「イヤァァァァァアァァアァァァァアアアア!!!!!!」
水風船が割れるように一澄の腕が破裂し、血が飛び散る。
その血を浴びても尚、青の顔は無表情だった。
その光景に蒼は目を瞑り、高奈はゲームのヴォリュームを上げるだけで、特に感情は見られない。
「・・青、時間ないし、行こうか。」
「うん、解ったよ、おねいちゃん。」
その声は先ほどとは打って変わって、猫なで声な妙に似合わない声だった。
そのまま蒼は青と共に一澄の横を通って扉を潜った。
・・彼女の横を通る時に蒼の口が「ごめん」と動いた事に気が付いた人は居なかった。

『ヒュッ!』
そう風を切る音が聞こえる程、紅林の動きは素早かった。
狙うは足、まずは相手の動きを止めるのが上等手段だ。
低い体制から突如ブレーキと共に回転してローキックを放つ。
が、それを灰里は軽く飛ぶことでいとも簡単にかわしてしまう。
「・・ダメだ、紅林、お前では勝てない。」
感情の無い、棒読みの台詞が紡がれる。
それについて紅林はノーコメントだった。
「・・仕方ない、・・苦しまないように・・殺してやる。」
そう言って灰里の姿が歪み、Zeroの姿へと変貌する。
それは、蜂によく似た姿だった。
灰里は距離を詰め、重い拳を繰り出す。
それを少ない動作でかわし、足払いをかける。
が、それも先ほどのようにふわりと浮き上がった身体にかわされる。

『ガキィッ!』

紅林の装甲に罅が入る。
が、それは灰里の攻撃ではなく、Proto systemの耐久性が限界に近いせいだろう。
「・・早いとこ決着をつけなきゃなぁ・・。」
紅林は呟く。
そのまま、机に近づき、置いてあったベルトを掴む。
「・・ん?何だ?」
「・・G system・・お前等に悟られないように作るのはしんどかった・・。」
そう言って、ベルトを装甲の上に付ける。
「風凪、コレがアイツ等の『牙』になる!」

『R system Reinforcement・・・Form G!!』

一瞬だった。
何か装甲が変わった、と認知した瞬間に灰里は『消し飛んで』いた。
そして、そこには生身の紅林が立っていて、ぼうっと上を見上げていた。
が、次の瞬間には膝から崩れ落ち、倒れ・・・

『ガッ』

それを受け止めたのは風凪だった。
「完成・・したのか、G and D system・・・。」
「・・あぁ、一応な。ついでにProtoに対応させるのに手間取った。」
「しなくて良いだろ、つうか、俺がやりゃぁ、良かったんだろうし。」
「そうか、その手があったか。」
「・・今解った様な言い方すんな。緋月に見せたかったんだろ?」
「あぁ、そうかも、俺らしくねぇ。」
「いいや、お前らしいさ。」
それを聞いて紅林は目を閉じた。
B×B Sixth
お待たせしました(?)
『B×B』の第6話です。
かなりの駆け足ですが、どうぞお付き合い下さい。

ご意見、ご感想お待ちしています。

Sixth"希望"

ズルッズッズ・・・・ドサッ。
薄暗い研究棟に物を引きずるような音が木霊する。
「ほれ、ガキ。連れて帰ったぞ。」
緋月はThirdを研究員の足下に放り投げる。
未だ絶賛気絶中なThirdはその衝撃を受けて尚、一向に目を覚まさない。
systemを起動していてもこの状態である。白羽の力はどれほどなのか、想像は容易ではない。
「ご苦労。・・おい、Second、聞いて居るぞ。Firstを無視したそうじゃないか。何故捕まえなかった。」
若い研究員は背は同じだか年齢的に下の緋月に向かって威圧的な声をあげる。
その声に一瞬顔を歪めた物の、緋月はすぐ元の顔に戻り、「指令はThirdの捕獲のみだった。」と答えた。
表情を読めない苛立ちか、小馬鹿にしたように感じたのか、研究員は舌打ち一つ残して背を向ける。
そのままThirdの襟首を持って研究室に戻り・・・「駒のくせに。」呟いた。

『ドゥン!!』

研究員が振り向くと、自分に向けて銃を構える緋月が居た。
その先を見れば赤々と焼け、機材は溶け出している。
「なんつった?あ?」
銃を構えたまま緋月は怒気を存分に孕んだ声で研究員に問う。
「・・き、貴様、てめえらを『作ってやった』俺等に向けて何て口の利き方だ!!」
としかし、研究員も空気を察せず、威圧的に言う。
これが緋月の神経を逆撫でしない筈がない。

『R.system・・・Ready』

「ひっ!」
研究員の前に紅蓮の装甲が現れる。
「・・作ってやった?あぁ、ありがたいね。お前みたいな馬鹿を、軽く殺せる。あ、殺すことに抵抗が無いのもお前等の教育の賜か。」
銃に力を込めていく。そこに躊躇いなど一切無い。
怯える研究員に向かって緋月は最後、
「ありがとう、心から感謝を送るよ。・・そして、永遠に俺の前から消えてくれ。」

『ゴォウ!!』

部屋が、火球に包まれた。

『エマージェンシー、エマージェンシー、研究棟A-3〜4にて火災発生。火は強力な属性不可がかかっているためSecondの仕業と仮定し現在Secondを捜索中。繰り返す・・・』

「あん、馬鹿が・・。」
紅林はコーヒーを机に置いた。
放送の内容から推測するに、どっかの馬鹿が家の馬鹿を挑発したんだろう。
流石にそうでもなければあの馬鹿は騒ぎを起こしたりはしない。
「少々予定が狂ったが、緋月には現実を見て貰うかな。」
そう言うと紅林は横に置いてあるアタッシュケースを見やった。

『ドウン!ドドドドン!』

火球が四方八方に飛ぶ。
すでに廊下は壊滅気味。後ろからの追跡は不可能だろう。
緋月が向かう先は紅林の部屋。
「そう、なんで気が付かなかったんだ・・。俺は、アイツを殺せば・・自由じゃないか。」
装甲に隠れて見えない顔がそう呟く。
ゆったりと、しかし着実に歩を進める。
もう少しで部屋に着く。
前から来る雑魚はクライシスで一掃する。
遮る物など無い。
「・・ここか。」
扉の前に辿り着く。
銃を上げ、扉に向ける。

『ゴォウ!』

扉を破壊するための火球が繰り出される。
煙が晴れた先には椅子に座った紅林が居た。
「やぁ、緋月。今日もご機嫌斜めだねぇ。」
いつも通り、そう、こんな状況にも全く動じず、いつも通りに紅林は惚けて言った。
「・・お前を、殺しに来た。」
「そうか、そいつぁ困った。俺はまだ死にたくない。未婚だしね。」
どんな状況でもふざけている紅林に緋月は苛ついていた。
「・・しらねぇよ。取り敢えず・・死んでくれ。」
緋月が銃を構えた瞬間、後ろから吹き飛ばされた。
「ちっ、情報の早い事で。」
紅林は憎々しげに言う。
そこには数人の研究員と棟の責任者が立っていた。
「紅林、お前も風凪と同じか?全く、私は嘆かわしいよ。」
表情を全く変えず、殆ど棒読みで喋る責任者・・灰里。
「俺は、自分の好きな事をするだけだ。そして、今は緋月を守らなきゃならないんでね。」
「は?なんで俺が守られなきゃならねぇんだ!」
今までの口調とは違う・・いつもの緋月の口調に紅林は顔を緩める。
しかし、すぐ灰里に向き直り、表情を固定する。
「すみませんね。俺としてはなんで『Zero』を殲滅する組織がそれらを『飼ってるのか』が気になりまして。」
紅林も灰里に負けぬほどの棒読み具合だ。
緋月は紅林の台詞に驚きを隠せず、灰里も表情が一瞬歪む。
「で、緋月君にここの現実を見て貰おうと思ってね。」
そう言って紅林はケースの中のベルトを付ける。
「試作品段階でもかなり上まで行ったから・・・割と持つと思うんだけどな。」

『Proto system・・・変身!!』

紅林がそう叫ぶとそこにはギシギシと音を立てる、紅蓮の戦士が立っていた。
「ちっ、おい、かかれ。」
灰里が指示すると、研究員がわらわらと入ってくる。その姿は順々にZeroへと変貌していく。
「フッ」
紅林は息を吐いて、一気に距離を詰める。
一体目に掌底を叩き込み吹き飛ばす。そのまま回し蹴りで二体目を。
今まで馬鹿な奴と思っていた人間が、『Raider』として戦っている、その光景に緋月は呆気にとられていた。
「良いか!緋月!」
Zeroを相手しながら紅林は緋月に叫ぶ。
「お前等はそれぞれにモチーフがある!お前は火蜥蜴・・サラマンダーだ。Raiderには羽のある何かをモチーフにしなきゃなんなかったんだけど、お前には羽は無い!」
緋月はただ聞いているのみだった。
「いいか!FirstはいつかZeroを殺しきる。その時支えるのはお前だ!緋月!」
紅林が最後のZeroを倒した。
「・・・生き残れ。そのための『牙』はすでに研いである。」
そう言うと紅林は緋月にもう一つのアタッシュケースを渡し、脱出用の出口から突き落とす。
「なっ!!」
高さ的には4階だが、アイツなら怪我一つ無い筈、そう信じて紅林は背を向ける。前には灰里。
「・・あ〜、コレ不可がかかりすぎて超だるいわ。」
呟いて、突っ込んだ。
話屋、100のお題Ver,
B×Bはもうしばらくお待ち下さい。

と言うわけで、話屋の3話目。
ご感想、アドバイス等、お待ちしております。


3、音楽 【おんがく】

「理穏君って歌得意でした?」
昼食を食べている時、ふと帳さんがそんなことを聞いてきた。
───何ですか?いきなり。
「いえ、ちょっと気になりまして・・。此処って、本当に無音じゃないですか。だから何も無いときに理穏君に歌って貰おうかと・・。」
無音なのは気になっていたが、それを俺で・・しかもアカペラで解決しようとは・・帳さんも思い切った事をなさる・・。
───そうですね・・歌は好きですけど・・あまり得意ではないです。
実技教科は技術と体育だけで助けられてきたに等しい。
得意でないと言うのはまぁ、ギリギリラインの台詞だろう。
「じゃぁ、歌を教えてくれませんか?・・・あぁ、歌以外で、楽器とかでも良いですよ?」
交渉術がお上手ですね・・。
後日音楽の授業が行われる事になりました。

───では、店の裏にあった木とポリバケツで、太鼓でもやってみましょう。
仕方なしに俺はリズム感さえあれば何とかなりそうなモノを選び、音楽の授業とすることにした。
そんな下らない授業でも帳さんは笑顔で、とても楽しそうだ。

「ボンボンボン、ボボン!ボン!」

白しかない無音の空間にあまりにも間の抜けた音が木霊・・しない。
音は一瞬耳を通り過ぎ、永遠に続く白に吸い込まれていった。
───それはそれで寂しいな・・。
「え?どうしました?」
何でもないです。俺はそう答えて、また太鼓を叩き始めた。
叩きながらぼんやり思い出すのは、ついこの間まで一緒に馬鹿やってた友達。
「バンドやろうぜ!!」
なんて、今時な高校生だった俺等は金も、楽器も、センスも何もなく、ただ漠然と憧れて、形として残したくて、騒いで・・・・。
一分一秒が早すぎて、付いていけて無かった。

───その時まで僕らは当然のように過ごす・・・。
───その時がくるのを知らなかったのように・・・。

いつだか聞いたメロディー・・知らず知らずのうちに口ずさんでいた。
それを聞いた帳さんは小さくこう呟いていた。
「それが・・音楽なんじゃないですか?」


引用・・KNIGHT of NIGHTMARE さんより 空詩

KNIGHTさん、歌詞の引用を許可して頂きありがとうございます。
前々から言っては居ましたが、掲載するにあたって今一度御礼を。


拍手レス
・・名前を載せて良いんでしょうか・・・。拍手だしなぁ・・。
取り敢えず、拍手、ありがとう御座います。
そう言って頂けると僕としてもとても嬉しいです。
話屋、これからも続きますので、どうぞお付き合い下さい。
話屋、100のお題Ver
第二話、

ご意見、ご感想お待ちしています。

2、椅子 【いす】

───帳さん・・この椅子直さなくて良いの?
『話屋』に来て早一週間、俺はこの店で手伝いをしている。
客としてではなくこの『空間』に来てしまうのは珍しい・・と言うか、前例が無いらしく、帳さんもどうしたら戻れるのか解らない様だった。
「あ〜、それですか・・。直したいとは思うんですけどね・・。」
俺と帳さんが言う椅子は背もたれのペンキが剥げかけ、足が少々ぐらついている店の椅子。正直その椅子を接客に使うのは些か不安だ。
───機材さえあれば直せると思うけど。
こう見えても技術の成績は良かったのだ。
「そうですか。では、お願いしましょうか。確か工具類は裏にあったかと・・。」
了解。俺はそう言って椅子を担いで外にでた。
外は相変わらず白の世界。
見渡す限りの白、白、白。
しかも色の境目なんて無く、全てが同じ白・・。
───気が狂いそうだ・・。
俺がそう感じるのも無理は無いと思う。
そんなことを思いつつ店の裏へ回り、工具を見つけ、作業に取りかかる。
よく調べれば椅子は所々金具が錆び、良くコレで保っていたモノだと関心する程だった。
とりあえず、いっぺんバラし、新しい金具に変え、ペンキを塗り、軽くヤスリをかける。
───よし、上出来・・だな。
俺の感想通り、椅子は見違えるほど綺麗になった。
「あ、理穏君。ありがとうございます。・・あぁ、本当に綺麗になりましたね。」
帳さんも嬉しそうで何よりだ。
「これ、お店を出した時から使ってるんですよ。」
え?
「うん、綺麗になって、椅子も喜んでるでしょうね。」
・・・。
「どうしました?理穏君。」
───すみません。ちょっと直し忘れが。
俺はそう言うと帳さんから椅子をひったくり、また店の裏へ駆けていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数時間後、椅子は『元通り』になって店に置いてあった。
───・・何て言うか・・やっぱり、そんな簡単に変えて良い物じゃ無いと思いました。
「・・そうですか。まぁ、何にせよ、綺麗になれて椅子も喜んでるんじゃ無いでしょうか。」
・・何で俺が椅子を『元通り』にしたのかは自分でもよく解らない。
でも一つだけ、『思い出を消したくない』それだけは、俺の心の中に強く・・強く、残っている。